因数分解の問題出題ツール
因数分解の問題パターン
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因数分解の問題パターン
共通因数
因数分解で最も基本的な問題の解き方が共通因数でまとめるという解き方です。それぞれの項で共通する係数の因数や文字をまとめます。
因数分解の問題には多くのパターンがありますが、まずはこの共通因数でまとめることができるかから考えていくのが因数分解の基本です。
係数の因数をまとめる
次の式を因数分解しなさい。
9x+15y
3をまとめる
= 3(3x+5y)
それぞれの項の係数で共通する因数をまとめます。はじめのうちはパッと因数をみつけられないかもしれませんが、因数分解の問題を解く回数をこなすうちにパッとわかるようになってきます。係数が大きい数の場合は素因数分解をしてみつけるという方法もあります。
上の問題では項が2つの式ですが、3つ以上の項がある式も問題によってはでてきます。項の数が大きいほど大変ですが、その場合も係数を素因数分解すれば確実に共通な因数をみつけることができます。
文字をまとめる
次の式を因数分解しなさい。
ax+x2
xをまとめる
= x(a+x)
それぞれの項で共通している文字をまとめます。上の問題のようにx2のような文字はxが2つあると考えて、共通するのが1つの場合は1つはカッコ内に残します。
文字の場合も3つ以上の項の問題であればそれぞれで共通する文字を探します。係数に比べると文字をまとめる因数分解の問題は簡単ですが、見落としがないように気をつけましょう。
係数の因数と文字をまとめる
次の式を因数分解しなさい。
6xy+2x2
2xをまとめる
= 2x(3y+x)
係数と文字がどちらも共通しているパターンの因数分解の問題です。係数だけや文字だけで安心せずにどちらも共通しているものがないかをちゃんと確認しましょう。
因数分解の問題によってはかなり複雑な式になっていることもありますが、ちゃんと係数や文字を分解して考えれば難しくはありません。ただ凡ミスで問題を落とすのは避けましょう。
公式を使う
次に公式を使った因数分解の方法です。
因数分解の公式は3つあり覚えるのが大変だと思うかもしれませんが、実は考え方は同じでその考え方さえ覚えておけば簡単に覚えられます。
公式1:x2+(a+b)x+(a×b) = (x+a)(x+b)
次の式を因数分解しなさい。
x2+6x+8
公式 x2+(a+b)x+(a×b) = (x+a)(x+b)
= x2+(2+4)x+(2×4)
= (x+2)(x+4)
この因数分解のポイントとなるのは、和と積の組み合わせをみつけることです。xの項が和になり、定数項(文字がない項)が積となる2つの数の組み合わせをみつければ因数分解した式を作ることができます。
負の符号が混ざる問題パターン
次の式を因数分解しなさい。
x2-5x+6
公式 x2+(a+b)x+(a×b) = (x+a)(x+b)
= x2+(-2+(-3))x+(-2×(-3))
= (x-2)(x-3)
次の式を因数分解しなさい。
x2+3x-4
公式 x2+(a+b)x+(a×b) = (x+a)(x+b)
= x2+(-1+4)x+(-1×4)
= (x-1)(x+4)
次の式を因数分解しなさい。
x2-4x-12
公式 x2+(a+b)x+(a×b) = (x+a)(x+b)
= x2+(2+(-6))x+(2×(-6))
= (x+2)(x-6)
因数分解をおこなう式に負の符号があっても考え方は同じで、xの項が和、定数項が積となる組み合わせを探します。ただどちらか、もしくはどちらともマイナスの数になるというだけです。
x2の項の係数に数がある問題パターン
次の式を因数分解しなさい。
9x2+18x+8
公式 x2+(a+b)x+(a×b) = (x+a)(x+b)
= (3x)2+(4+2)3x+(4×2)
= (3x+4)(3x+2)
x2の項の係数に数がある因数分解の問題もあります。この場合、まずx2の項の係数の平方根が整数になるかを確認します。平方根が整数になるのであれば公式1で解ける可能性が高いです。
考え方としては、x2の項に数がなくても実は1が隠れているということを考えれば腑に落ちやすいと思います。
解き方は通常の公式1を使った因数分解と同じで、和と積の組み合わせを探します。気をつけなければいけないのはxの項(和になる部分)に平方根の数を掛けて考えなければいけない点です。
公式2:x2+2ax+a2 = (x+a)2
次の式を因数分解しなさい。
x2+6x+9
公式 x2+2ax+a2 = (x+a)2
= x2+(2×3×x)+32
= (x+3)2
公式2は、xの項が2倍、定数項が2乗になる数を見つけます。xの項を2で割って、2乗した数が定数項になれば簡単にみつけられます。
負の符号が混ざる問題パターン
次の式を因数分解しなさい。
x2-8x+16
公式 x2+2ax+a2 = (x+a)2
= x2+(2×(-4)×x)+(-4)2
= (x-4)2
負の符号が混ざった式を公式2で因数分解する場合も考え方は変わりません。定数項は2乗したものになるので必ず正の値になり、もし負の場合であれば公式2では解かない因数分解の問題とわかります。
x2の項の係数に数があるパターン
次の式を因数分解しなさい。
4x2+20x+25
公式 x2+2ax+a2 = (x+a)2
= (2x)2+(2×5×2x)+52
= (2x+5)2
x2の項の係数に数がある因数分解の問題でも公式1のときと考え方は同じになります。x2の項の係数に数がなくても1が省略されていると考えます。注意するのはxの項が2倍してさらに平方根の数を掛ける必要があることです。
公式3:x2-a2 = (x+a)(x-a)
次の式を因数分解しなさい。
x2-9
公式 x2-a2 = (x+a)(x-a)
= x2-32
= (x+3)(x-3)
考え方としては定数項の平方根をみつければ因数分解ができます。公式3は1や2と違い符号のパターンはありません。定数項は必ずマイナスになります。
x2の項の係数に数がある問題パターン
次の式を因数分解しなさい。
81x2-25
公式 x2-a2 = (x+a)(x-a)
= (9x)2-52
= (9x+5)(9x-5)
x2の項の係数に数があるには、その数の平方根もみつける必要があります。
因数分解の公式の考え方
因数分解の公式は3つありますが丸覚えする必要はありません。というのもこの3つの因数分解の公式は別のもののように見えますが、考え方は全て同じだからです。
どういう考え方かというと、和と積の組み合わせになるという考え方です。それぞれの違いは、1は違う数の組み合わせ、2は同じ数の組み合わせ、3は絶対値が同じの正負の組み合わせになるというだけです。
例えば公式2は2倍と2乗になる数を見つけますが、それは同じ数の和と積とも言えます。
同じく公式3にxの項がないのは絶対値が同じ正負の数の和がかならず0になるからですし、定数項が負の2乗になるのは絶対値が同じ正負の数の積だからです。
この考え方がわかれば、3つの因数分解の公式は同じことだと理解できるはずです。
たすき掛け
次の式を因数分解しなさい。
5x2-7x-6
たすき掛け
公式を使って解けない因数分解の問題の場合、このたすき掛けで解きます。たすき掛けは図を作って数字の組み合わせを探していく因数分解の方法です。
慣れないうちは数の組み合わせを探すのに苦労するかもしれませんが、因数分解の問題の数をこなすうちにだんだん楽にできるようになってきます。
ちなみに公式で解ける問題でも、このたすき掛けを使うこともできます。どちらで解いても因数分解した式は同じです。
置き換えを使う
ここからは因数分解の応用問題になります。共通因数、公式、たすき掛けの基礎をしっかり理解しておいてください。
ここでは共通するものを文字に置き換えてから解く因数分解の手法を紹介します。
置き換えて共通因数
次の式を因数分解しなさい。
(a-b)2+x(a-b)
回答
(a-b)をAに置き換える
= A2+xA
Aをまとめる
= A(A+x)
置き換えたAを戻す
= (a-b)(a-b+x)
共通しているカッコの式を文字に置き換えて、その後共通因数でまとめ、置き換えた文字を戻します。
同じカッコの式がある因数分解の問題の場合、まずは置き換えて解けるかを考えてみましょう。
置き換えて公式1
次の式を因数分解しなさい。
(x-3)2+4(x-3)+3
回答
(x-3)をAに置き換える
= A2+4A+3
x2+(a+b)x+(a×b) = (x+a)(x+b)
= (A+1)(A+3)
置き換えたAを戻す
= ((x-3)+1)((x-3)+3)
カッコをはずす
= (x-3+1)(x-3+3)
同類項の計算
= (x-2)x
共通しているカッコを文字に置き換えてから公式1で解く手順の因数分解の問題です。
この問題で気をつけたいことは、置き換えた文字を戻したときに同類項の計算ができるようになることがあるので忘れずにおこないましょう。
置き換えて公式2
次の式を因数分解しなさい。
(x-1)2-4(x-1)+4
回答
(x-1)をAに置き換える
= A2-4A+4
x2+2ax+a2 = (x+a)2
= (A-2)2
置き換えたAを戻す
= ((x-1)-2)2
カッコをはずす
= (x-1-2)2
同類項の計算
= (x-3)2
置き換えてから公式2を使って解く因数分解の問題パターンです。こちらも最後に同類項の計算ができる場合にはしっかりおこないましょう。
置き換えて公式3
次の式を因数分解しなさい。
(x+3)2-25
回答
(x+3)をAに置き換える
= A2-25
x2-a2 = (x+a)(x-a)
= (A+5)(A-5)
置き換えたAを戻す
= ((x+3)+5)((x+3)-5)
カッコをはずす
= (x+3+5)(x+3-5)
同類項の計算
= (x+8)(x-2)
ここではカッコの式が1つだけですが、式全体を見たときに公式3に当てはまりそうというのがわかります。そこので置き換えてから因数分解をおこないます。
共通因数でまとめて公式を使う
因数分解の問題を解くうえで基礎となる共通因数と公式を順番に使う解き方です。
因数分解の問題はパターンが非常に多いですが、まずは共通因数でまとめることができるかから考えていきましょう。
共通因数公式1
次の式を因数分解しなさい。
ax2+10ax+16a
回答
aをまとめる
= a(x2+10x+16)
x2+(a+b)x+(a×b) = (x+a)(x+b)
= a(x+2)(x+8)
共通因数でまとめてカッコ内で公式1を使っています。とにかくまずは共通因数でまとめられるかを意識しましょう。
共通因数公式2
次の式を因数分解しなさい。
3x2+12x+12
回答
3をまとめる
= 3(x2+4x+4)
x2+2ax+a2 = (x+a)2
= 3(x+2)2
共通因数でまとめてからカッコ内で公式2を使っています。上の問題のように共通因数は係数の場合もあるので注意して因数分解しましょう。
共通因数公式3
次の式を因数分解しなさい。
2bx2-32b
回答
2bをまとめる
= 2b(x2-16)
x2-a2 = (x+a)(x-a)
= 2b(x+4)(x-4)
共通因数でまとめてからカッコ内で公式3を使っています。共通因数は係数と文字の両方の場合もありますのでどちらかだけにならないように因数分解しましょう。
公式置き換える公式
因数分解の問題ではかなり応用した問題です。式を部分的に公式を使い、置き換えてさらに公式にあてる因数分解の手順です。
次の式を因数分解しなさい。
x2-6x+9-a2
回答
部分的に公式2を使う
x2+2ax+a2 = (x+a)2
= (x-3)2-a2
(x-3)をAに置き換える
= A2-a2
x2-a2 = (x+a)(x-a)
= (A+a)(A-a)
置き換えた文字を戻す
= ((x-3)+a)((x-3)-a)
カッコをはずす
= (x-3+a)(x-3-a)
ポイントとなるのは部分的に公式をあてるというところ。基礎のときは式全体にしか公式を使いませんでしたが、因数分解の応用問題では部分的に公式を使うこともあります。
項を分けて共通因数や公式を使う
ここでは項を分割して共通因数や公式を使う因数分解の問題パターンを紹介します。項を分けてそれぞれで因数分解し、置き換えからまた因数分解します。
共通因数 & 共通因数
次の式を因数分解しなさい。
bx-7b-xz+7z
回答
項を分けてまとめる
= b(x-7)-z(x-7)
(x-7)をAに置き換える
= bA-zA
Aをまとめる
= A(b-z)
置き換えた文字を戻す
= (x-7)(b-z)
式の項を前半と後半でそれぞれ共通因数をまとめると同じカッコ内の式ができるので置き換えてさらに共通因数でまとめるという流れの因数分解になります。
公式1 & 共通因数
次の式を因数分解しなさい。
x2-3x+2-ax+2a
回答
前半部分に公式1を使う
x2+(a+b)x+(a×b) = (x+a)(x+b)
= (x-2)(x-1)-ax+2a
後半部分をまとめる
= (x-2)(x-1)-a(x-2)
(x-2)をA、(x-1)をBに置き換える
= AB-aA
Aをまとめる
= A(B-a)
置き換えた文字を戻す
= (x-2)(x-1-a)
前半は公式1、後半は共通因数という問題パターンです。式の項が5つあるときにはこの問題パターンを疑ってみるのがいいと思います。
公式2 & 共通因数
次の式を因数分解しなさい。
x2-8x+16+ax-4a
回答
前半部分に公式2を使う
x2+2ax+a2 = (x+a)2
= (x-4)2+ax-4a
後半部分をまとめる
= (x-4)2+a(x-4)
(x-4)をAに置き換える
= A2+aA
Aをまとめる
= A(A+a)
置き換えた文字を戻す
= (x-4)(x-4+a)
前半は公式2、後半は共通因数という因数分解の問題パターンです。このときも式の項が5つあるときの因数分解の解き方になってきます。
公式3 & 共通因数
次の式を因数分解しなさい。
x2-4+xz+2z
回答
前半部分に公式3を使う
x2-a2 = (x+a)(x-a)
= (x+2)(x-2)+xz+2z
後半部分をまとめる
= (x+2)(x-2)+z(x+2)
(x+2)をA、(x-2)をBに置き換える
= AB+zA
Aをまとめる
= A(B+z)
置き換えた文字を戻す
= (x+2)(x-2+z)
前半は公式3、後半は共通因数という問題パターンです。
さいごに
ここまでで因数分解の問題パターンを紹介してきました。
因数分解の問題は非常にパターンが多く、中学で習う数学では最難関と言ってもいいくらいです。しかもこのページで紹介した問題パターン以外にもまだ応用があります。例えば項の順番がバラバラになっているいじわるな問題もあるかもしれませんし、展開を組み合わせる問題もあるかもしれません。また分数や少数を使うこともあるかもしれませんね。
しかし、問題を解く回数をこなすことで多くのパターンの因数分解を解くことができるようになってきます。問題を解く数をこなすこと。これが大事です。当ページの因数分解問題出題ツールはその反復練習に使ってほしいと思い作成しました。作成できる問題は無限にありますのでいくらでも問題を解く練習をしてください。
当サイトの問題出題ツールが因数分解攻略のお役にたてれば幸いです。
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